中崎透遊戯室/NAKAZAKI Tohru PLAYROOM

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2012年 05月 08日

Sachiko M/I'm Here -short stay- traveling exhibition ver.2=Transit=@PLAYROOM

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Sachiko M I'm Here -short stay- traveling exhibition ver.2
=Transit=@PLAYROOM


●会期:2012/4/18,20,21,22,27,28,29,30 5/3,4,5,6,8
    13:00-19:00
   ※初日、最終日以外は基本的に金土日&祝日のオープンとなります。
   ※作家在廊予定 4/18,20 5/6,8

●会場:遊戯室(中崎透+遠藤水城)
〒310-0061茨城県水戸市北見町5-16 水戸のキワマリ荘内/遊戯室
*JR水戸駅より徒歩12分。水戸芸術館より徒歩10分。
*駐車場はありませんので、車でお越しの方は近くのコインパーキング等をご利用ください。
MAP

●お問い合わせ:tohru51@hotmail.com(中崎)


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Sachiko M I'm Here -shortstay- traveling exhibition Ver.2=Transit=にむけて
展示解説及び、メッセージ



=Transit = 「通過」する為に

私がサウンドインスタレーションを最初に制作したのは2004年。@OFFSITE。
代々木の一角にあったその一軒家は、1階がギャラリー2階がカフェ、当時そこでは数えきれない程のコンサートも行われていて、30人入れば一杯になってしまうそのスペースで、新しいスタイルの音楽が次々に生まれては、消えていった。

そこのギャラリーでのインスタレーションであったのだが、当時の私はライブをやる方に夢中でギャラリー方面に全く興味がなく、よって、「サウンドインスタレーションをやって欲しい」と、オーナー(伊東篤宏氏、藤本ゆかり氏)に言われても何のアイディアも浮かばなかった。それでも、何かやってみようと思ったのは、両氏が私の音楽に真摯に向き合ってくれていたから。心底、Sachiko Mの音楽、というものを評価し、言葉のとうり、私にしっかりと正面むいて立ち合ってくれていたから。

ならば、と、他の制作は全てお二人におまかせし、私は「音」だけを制作した。
作曲して録音して、はいっと、渡す。それだけなら何とか出来ると思ったし。
でも、その中には私なりの「さっと、観て、通り過ぎてしまう」美術作品の鑑賞法へのアンチが、一応、込められている。鑑賞なんぞしたこともないのに、「アンチ」とは、おこがましいが、当時の私の印象なんて、そんなものであった。

ガチガチの作曲作品、CDRに入る限界の長さ70分×2枚分。
音がほとんど、ない、もしくは、1分に1回あるかないか、あったとしても一つの音がただ流れる、など、さっと通り過ぎようものなら、一音も聴く事が出来ない状況もあたりまえ。ただ、そこには、いついても、いつ来ても、印象が違うように、2つの70分の作品には、一つとして同じ状態の音は 、ない。

制作をまかせた、とはいえ、何を置くのか、置かないのか、どう置くのか、そしてどう音を流すのか、、。そこらへんは、何とか自分で考え、そこに初めて
Sachiko Mのsound installation、『I'm Here 』が生まれた。

新作にむけての言葉に、何を書いているのかというと、私のインスタレーションは、そこから何にも変わってはいない。最初の作り方から根本的には、何一つ、変化してはいない。いや、一つ、変化した事と言えば、「やる気になった」って事くらいか。気が向いた→「気」が向かった、そっちの方に。それだけでも大きな変化ではあるが。

今でも美術作品やその関連たるものになんら興味もないし、面白いと思うものもない。
でもそれは、私にとって音楽と一緒。もともと音楽に対しても、さして興味もないし、面白いと思う音もあまりない。いや、そう思うからこその私の音楽であったし、音、であったとも言える。だから、そこは別に大きな問題じゃ、ない。
アートが何なのか、音楽が何なのかも含めて。
ただ今は、自分のベクトルが、インスタレーションをする、って事にに向いているだけで、そのベクトルを受け入れてくれる心底ありがたいと思える人がいてくれている、って事だけ。

最初のI'm Here から、この音を使ったシリーズは、2009年のI'm Here ..departures..@浅草パラボリカビス、で一旦終結させた。「旅立ち」とも「別れ」ともとれる言葉ではあるが、ツアーミュージシャンの私にとって、その場所を離れる事は、次の場所に行く事であったから、そっちの意味合いの方が強い。
そしてそれは、私の気持ちの中で変化が起こり始めた時でもあったようだ。

そして、昨年2011年2月のI'm Here ..re-turn..@水戸芸術館。実に7年たって、新たに録音&制作をした。だいぶ前述の私の「気」が向き始めていた頃であったし、漠然とだけど、これを越える事で何かが見えてくるような気がしていた。
だから、文字どうり、かなり「気」合い、を入れて取り組んだ作品であった。

でもこの作品、震災で中止を余儀なくされた。会期半ばもいかないうちに。

演奏途中で、音が、途絶えた。とでも言えるか、、。

いつでも、どこでも、どんな過酷な状態でも、弛まず流し続けてきた私の音が、途中で、自分の意志の届かないところで、途切れた。そんな感じ。
エンディングのできない演奏。
そんな中途半端な感情も、思いも、とりあえず封印する事しか出来なかった。
代わりのものなんてないから。


そんな中、何の因果か昨年10月シンガポールで、ゆるりと異国の地で録音&制作する機会を得られた。

そこで私は、たった一人で制作してみた。誰の助けも借りず、自分一人で運べて、自分一人で何でも出来る範囲のものを、そして、軽やかだからこそのしなやかな強さを持ったこの作品を、たった一人で、密やかに、こつこつと、作ってみた。
それが、このシリーズ。 I'm Here -shortstay-
展示期間は本当に短く、たったの3日間。

そして、この身軽で、密やかで、ある意味たくましく?育ったこの作品を、旅に出したい、となぜか思った。自分なりの巡回展ってやつです。そしてそれは、英訳するとtravering exhibitionでした。奇しくも私のそもそもの音楽スタイル、旅する音楽家=ツアーミュージシャン、ということに、また辿り着いたような気がした。

旅は楽しいけれど、毎回違う環境で、違う観客を前に確実に音を出し続ける事は決して楽ではなかった。毎回=毎日、ともいう。寝てられない。
がたがたのスーツケースは、私の象徴でもあるし、そして心底、疲れた頃、飽きられたのか、海外での演奏の仕事はあまり来なくなった。
そこも無情。必要とされない場所には行く必要もない。

それでも、私は旅に出たいと思ってしまう。今更、同じ場所にずっといる事など、あり得ない。いや、そのバランスも少しは変化し、速度も変化しているからこその、今回の旅立ちでもあるとも言える。

自分のペースで、自分のやり方で、自分の居心地で。

まだ今回の作品は旅立ったばかりで、途中、滞ってしまうこともあるだろうが、私は、巡回展とはいえ、一つ一つ、ハンドメイドのような変化をし続けるこの作品を、毎回新作を作る気分で向き合っている。
そして、そこにはただ一つ変化しない、「録音された音」、と、時間軸に沿ってまたは逆走して変化しつづける、私が存在していた事の象徴ともいえる「自分が撮影した写真」、というメディアが絡みあいながら、ゆるやかに、急激に、変貌しつつ、おそらく最後には、源流に戻る。(ような気がしている)

とにかく、私がこの眼で確かめたいのだ。というか、この状況に立ち会いたい。
この一心で、私は、今、この制作に取り組んでいる。
ここは、当初の、音を作って「はいっ」と渡した感情とは違っている点であり、情がわいてきた、とも言えるのだが、それとは逆に突き放して行きたいとも思う、離れて行く為のもの、なのかもしれない。

この運命の水戸で、この新作の旅の第二歩を進める事が出来たのは、またもや、ありがたき人々の協力&愛情によるもの以外、何ものでもない。
感謝する以外に私に出来る事は、真摯に向き合ってくれたお返しに、真摯に自分の制作をすること。ま、当たり前の事ですが、、。

いつものように、ありのままに、自分の表現をする&出来る事の喜びをかみしめつつ、自分なりの何かのケリをつけて、次にきちんと進めていいく事。
それが、水戸での個展に対する、私の覚悟、としての今回のタイトル、=Transit=。
今度こそ自分でエンディングを奏でる願いも込めて、そしてここを、水戸を、きちんと「通過」する為に。


=Transit=通過する、為には、そこに留まる =stay=、事も必要。
通り過ぎるよりも、少し長い -shortstay- 。

ちなみに、最初のタイトル『 I'm Here 』の由来は、私にとってのライブ演奏と、インスタレーションの違う点、「私がいる=のがコンサート、いない=のがインスタレーション」(当時はこの違いくらしか、思い浮かばなかった)。
今は、この意味をきちんと説明する事が出来ない程、しつこく自分の作品のタイトルに使い続けておりますが、もはや定義付けする必要はないのかもしれない。


私がいようといなかろうと、そこには「音」がありますから。


Sachiko M I'm Here -shortstay- traveling exhibition Ver.2=Transit=にむけて。
2012, Mar 10~


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I'm Here -shortstay- @ LASALLE College of Arts,Praxis Space/Singapore, 2011年10月,3日間
実際の展示場所で録音。
録音されたCDR4つ。それぞれ、25分、20分、15分、10分。
4つのCDプレーヤーが付属のイヤホンによって鳴らされ、ループされ、廻り続ける。
イヤホンは、壁に打ち付けられ、スピーカーとして使用する事で、8つのスピーカーが織りなす
音の重なりを作る事が出来る。よって、イヤホンを耳に入れる事を禁じる。

I'm Here -shortstay- traveling exhibition Ver1.=Single Room=@20202/Tokyo, 2012年2月,15日間
上の音の作品に+シンガポールでの制作風景、展示風景を撮影した本人撮影による写真を展示。
時間軸とは逆に撤収→現地到着までをオープンからクローズまで日替わりで展示した。

I'm Here -shortstay- traveling exhibition Ver2.=Transit=@PLAYROOM/Mito, 2012年4月,13日間
音は、同じ。
写真を20202で撮影したものに、総入れ替え。展示期間13日間、毎日なんらかの変化をする。


、、、といったように、巡回するごとに、その一歩前の展示での写真に入れ替え、その変化の仕方自体も変化していく。写真販売も同時に行う(この売り上げが次の旅の資金源)。
販売写真も毎回入れ替え。よって、必然的に限定数販売となる。
追加で設置するものとしては、実際に入れて運んでいるスーツケース、メッセージボード、カーテンなどがあるが、それらは、毎回、展示ごとに模様替え。後々消える可能性もあり。

必要最低限のものだけ準備し、毎回その場所、その時期、その気分?によってゆるく変貌していく、
展示場所、訪れる日、訪れる時間により、同じ瞬間は二度とない。



Sachiko M

劇団の音響技師を経て、1994年サンプラーを手に音楽活動を開始、
以降、海外での演奏活動を中心に、様々な活動を続ける。
1998年、今までのスタイルを一新、サンプリングされた音源全てを放棄。
サンプラーに元々内蔵されていたテスト・トーン用のサインウェイヴと、スイッチノイズを用いた極端なまでにシンプルでミニマリスティックなサウンドと、潔いまでに徹底した音楽に対する姿勢で世界的な注目を集める孤高の即興演奏家として知られるようになる。

2004年、初のサウンドインスタレーションI'm Hereを発表。


EXHIBITIONS
I'm Here -short stay-traveling exhibition ver.2 =Transit= PLAYROOM/Mito(2012)
I'm Here -short stay- traveling exhibition ver.1 =single room= 20202/Tokyo (2012)
I'm Here -short stay- LASALLE College of Arts,Praxis Space/Singapore (2011)
I'm Here ..re-turn.. Art tower Mito /Mito (2011)
I’m Here..departures.. Parabolica bis/Tokyo(2009)
I’m here, trios room/Gentilly, France (2005)
I’m here, too TranqRoom/Kyoto(2004)
I’m here OFF SITE/Tokyo(2004)


SELECTED SOLO ALBUMS
I’m Here..departures..(2009)
Salon de Sachiko (2007)
Bar Sachiko (2004)
SineWave Solo (2000)


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by tohru511215 | 2012-05-08 12:20 | news